年金手帳

東雲です。

国民年金の未納率は35%(平成28年度)となっており、払えるのに払っていない!という人も多いようです。これに業を煮やした政府は2017年度から国民年金保険料の強制徴収の基準(*1)を引き下げました。

*1 平成30年度からは、年間所得300万円以上かつ7ヶ月以上保険料を滞納している人は強制徴収されます。

参考:国民年金の強制執行基準は厳格化の流れ

払えるのに払わない人の中には“政府の年金制度を信用できない!”という人も多いのでしょう。

2017年9月にも加給年金の支給漏れ問題が発覚しましたし、年金制度に対する不信感は相当なものがあると思います。(参考:消えた年金問題

しかしながら、払わない!という選択肢は基本的に有り得ません。なぜなら、国民年金保険料は、その徴収上、所得税などと同様の「税金」の扱いを受けるからです。

また、未納の場合のデメリットの大きさを考えても、払わないという選択肢を取る理由は有りません。むしろ、積極的に支払うべきでしょう。

今回の記事では、国民年金保険料が税金と同じ性質を有するとはどういうことなのか?納付しないことでどんなデメリットがあるのか?について見ていきたいと思います。

注:本来的には厚生年金保険料に関しても同様の議論ができますが、厚生年金保険料の納付義務があるのは事業主なので、ここでは触れていません。

国民年金保険料の徴収が税金と同じ性質を持っているとは?

税金

なぜこのような事が言えるのか?それは法律にその旨が書かれているからです。

まず、国民年金法7条に記載されているように、第2号・第3号被保険者を除いて、日本に居住する20歳以上60歳未満の人は、原則として国民年金への加入義務があります。この場合、加入者は第1号被保険者となります。

(被保険者の資格)

第七条  次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金の被保険者とする。
一  日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であつて次号及び第三号のいずれにも該当しないもの(以下省略)。)

そして、被保険者の保険料の納付義務が国民年金法88条に記載されています。

(保険料の納付義務)
第八十八条  被保険者は、保険料を納付しなければならない。
2  世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。
3  配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。

被保険者は、保険料を納付しなければならない

と書かれていますね。つまり、国民年金保険料の納付は被保険者にとっては“義務”なわけです。

更に同95条では以下の記載があります。

(徴収)
第九十五条  保険料その他この法律(中略)の規定による徴収金は、この法律に別段の規定があるものを除くほか、国税徴収の例によつて徴収する。

注目してほしいのが赤文字にした「国税徴収の例」によって徴収すると書かれた部分です。保険料の納付は義務な上に、その徴収は国税徴収の例により行われます。(なお、ここでの”徴収”は国税徴収法第2条第1項12号強制換価手続の「滞納処分時」の事を指します。延滞した場合の話ですね。)

よって、国民年金保険料は(徴収上)は税金と同様の性質を持つわけです。従って、法律的な面から見ると”払う余裕が有るのに国民年金保険料を払わない”という選択肢は無いという事が分かります。

ちなみに、保険料を滞納(未納)していると、延滞金も課されますよ。年金保険料は税金と同じです。滞納処分・督促等の詳細は下記記事でご確認下さい。

参考:年金保険料の滞納・督促・差押え

年金保険料を払わない事で被るデメリットの面からも払わないという選択肢はない

続いてのセクションでは“保険料を払わない事によって被るデメリットの大きさ”という観点から見ても、保険料を払えるのに払わない!という選択肢を取る理由がない点について説明します。

バツポーズをする男性

保険料を払わないとどんなデメリットが発生するでしょうか?

まず一番に思いつくのは、原則65歳以降に貰えるはずの老齢年金が貰えなくなる、という事ですね。しかも老齢年金は民間の個人年金保険とは違って、終身(死ぬまで)で貰える年金です。

公的年金だけで生活出来るほどのお金は貰えないかもしれませんが、老齢期になれば体が思ったように動かないので、仕事で得られる収入も少なくなります。そんな時に毎月固定で貰える年金は大きな生活の糧となるものです。また、公的年金はインフレにも対応してくれる唯一の保険ですから、資産価値が目減りすることも基本的にありません。

公的年金が貰えないと、老後の生活設計が非常に厳しくなり“老後破産”が現実味を帯びてきます。必ず払いましょう。

老後破産のイメージ

他に、保険料を払っていない事で被る可能性のある重大なデメリットとしては、以下のような物があります。

  • 障害年金を貰えないかもしれない
  • 遺族年金を貰えないかもしれない
  • 確定拠出年金に加入できない etc

障害年金や遺族年金はかなり見落としがちなポイントですから、しっかりとチェックしてくださいね。

独身の方はあまり関係ないかもしれませんが、遺族年金なんか本当大事ですよ。これが貰えるか貰えないかで残された遺族の生活設計が大きく変わります。自分の死後、家族に惨めな生活をさせないためにも保険料は支払っておくべきす。

また、公的年金にこういう制度があることを知っていれば、死亡保険の保険金額等を考える際にも合理的な金額を設定できるようになり、無駄な保険料を削減できますよ!!

以上、年金保険料を払わないデメリットについて簡単に見てきましたが、詳細には「国民年金の未納は有り得ない!」という記事でもっと深掘りした説明をしているので、気になる方はそちらも参照して下さい。

まとめ

ここまで、法律的にも実際的にも”保険料を払わない”という選択肢を取る理由はない、という事を説明してきました。考え方は人それぞれかもしれませんが、東雲としては未納(滞納)は出来る限り避けるべきだと思っています。

また、現在の年金の仕組みは、自分が納付した保険料が自分の年金給付として支払われる積立方式ではなく、自分が納付した保険料が現在の年金受給者の給付に使用される賦課方式を採用しています。

従って、滞納者が増えればそれだけ保険財政を圧迫することになり、制度の運営維持が難しくなります。制度の運営が難しくなれば、「保険料の引き上げ」「給付の引き下げ」あるいは「増税」という対策を取らざるを得ません。

「そんなの自分には関係のないことだ」

と思うのは自由ですが、それにより負担が増える人がいるのも事実です。年金は相互扶助の精神で成り立っています。払えるのであれば、是非払えるようにして下さい。

注:もちろん“払いたくても払えない!!”という方も存在すると思います。そういう方は是非「年金の免除制度」を利用して下さい。免除制度を利用していれば、10年間は保険料を遡って支払う事ができますし、免除期間は老齢年金や障害年金等の受給資格期間にも参入されます。詳細は下記記事をご参照下さい。

参考:国民年金の免除制度総まとめ