国民年金の還付

  • 自営業者【個人事業主】だった人が会社を設立して代表取締役に就任した
  • 自営業者【個人事業主】だった人が事業を廃業して会社に就職した

このような場合、自営業者は社会保険(厚生年金)に加入する事になりますので、第1号被保険者から第2号被保険者に切り替わります。この時、国民年金保険料を前納していた人等は、国民年金保険料の過払いが生じてしまう事になります。

今回の記事では、この過払い分の還付手続きについてまとめていきたいと思います。

国民年金保険料過払い分に対する還付金を貰うために必要な手続き・書類

国民年金保険料の還付手続きに関しては、後述する国民健康保険の還付手続きのように、わざわざ自分で役所に行く必要はありません。

社会保険への加入手続きが終了すれば、後は年金事務所が国民年金と厚生年金の加入期間の重複及び保険料の過払い有無を判定して、過払いが有る場合には以下のような「国民年金保険料過誤納額還付・充当通知書」及び「国民年金保険料還付請求書」という書類を送付してくれます。

国民年金保険料過誤納額還付・充当通知書

我々は上記の書類(国民年金保険料還付請求書の方)に”住所や振込先口座”などの必要事項を記入・捺印して返送すれば、還付手続きは完了です。

送られてくる書類の中には「切手不要の返信用封筒」も入っているので、費用はかかりません。

切手不要の返信用封筒

還付手続きを行う際の注意点

還付手続自体は書類を書いて返送するだけですので、何も難しいことはありません。記載例も送られてくる書類の中に含まれているので、それを見て記入すればOKです。

但し、以下の二点については注意して下さい。

  • ①通知書が手元に届いた翌日から起算して2年を経過しても還付請求書の提出が無い場合には、時効が成立し還付金を受け取れなくなる
  • ②振込先が請求人の物であることが分かるように、振込先の通帳のコピー(銀行・口座番号・氏名などが分かるもの)などを同封した方が良い

②は義務ではないので、別に同封する必要は無いのですが、年金事務所から送られてくる「記入上の注意」には下画像のように注意書きとして「通帳のコピー等」を添付して欲しい旨が記載されています。

記入上の注意

少し手間ではありますが、振込先の誤りを防ぐためでもあるので、協力するようにした方が良いでしょう。

ネットバンキングを利用している場合、通帳が無い事も有ると思いますが、その時はWEB通帳のキャプチャー画面でも大丈夫です。

国民年金保険料の還付手続きにかかるQ&A

国民年金保険料の還付手続きにかかる細かな疑問点をQ&A形式で紹介していきます。

自分が還付金を貰えるかどうかの判断の仕方

社会保険の加入日が属する月を含むそれ以降の月の国民年金保険料を支払っている場合には還付対象となります。

例えば、社会保険(厚生年金)への加入日が1月31日。1月分の国民年金保険料は支払済と仮定しましょう。

この場合、社会保険への加入月は1月からとなりますので、1月度から第2号被保険者に切り替わります。従って、第1号被保険者として支払済の1月分の国民年金保険料は過払いと判断されます(1月度から厚生年金の保険料を支払う事になるので)。

この考え方は、国民年金保険料の払い方が毎月払いでも半年払いでも年払いでも同じです。

前納した場合の割引分はどう処理される?

国民年金保険料は、平成29年現在最大で2年先の分まで前納する事が出来ます(参考:国民年金保険料の「2年前納」制度|日本年金機構)。割引率は前納する期間によっても変わりますが、平成29年度に2年前納した場合の割引額は15,640円です。

では、国民年金の前納を行い、保険料の割引を受けていた第1号被保険者が第2号被保険者となった場合、割引額はどのように処理されるのでしょうか?

以下、私の事例(平成28年度の4月~3月分を1年前納で支払。1月に社会保険に加入したので1月~3月の国民年金保険料分が還付)を紹介しておきます。

項目合計保険料金額1月あたりの金額
①月払保険料合計額195,120円16,260円
②1年前納の場合の保険料金額191,660円15,971.6円
③還付金(3ヶ月分)48,620円16,206.6円
④既払い分(9ヶ月分-①から②を控除して算出)143,040円15,893,3円

注目すべきは「赤文字」にした部分です。私の場合3ヶ月分の還付金として48,620円返還されたのですが、これを1月あたりの金額に直すと「16,206円」でした。一方で第1号被保険者として加入していた9ヶ月分の単価を算出すると1月あたり「15,893円」でした。

「15,893円」は、1年前納した場合の保険料を1月あたりの保険料に換算した金額より単価が安くなっていますね。コレより、前納割引された分はしっかりと反映されているという事が分かります。

正規金額以上に単価が安くなっているのは、利子料分が反映されている物と思われます。詳細が分かり次第別途記事にしたいと思います。

注:前納分を確定申告で社会保険料控除として申告している場合、確定申告で修正申告をする必要がある場合があります。詳細は下記記事を御覧ください。

【未了】国民年金保険料の前納と保険料の還付の関連性

還付金の振込にかかる手数料はどちら負担?

我々が負担する必要ありません。振込手数料は国が負担してくれます。

還付金が振り込まれるまでの時系列

最後に通知書が来てから、実際に還付金が振り込まれるまでの流れを時系列で紹介しておきます。

  • ①2月23日に社会保険への加入承認(加入日は1月17日)
  • ②3月10日頃に「国民年金保険料過誤納額還付・充当通知書」到着
  • ③3月22日に書類を年金事務所に返送
  • ④○月○日に還付金が振込先口座に着金

上記流れは”私の場合はこうだった”という情報なので、参考程度に見て頂ければと思います。

【参考】国民健康保険は自分で役所に行って脱退手続きを行う必要がある

社会保険に加入すれば、当然協会けんぽや健康保険組合の組合員になりますので、国民健康保険からは脱退する必要があります。しかし、年金事務所が処理をしてくれる国民年金とは違い、国民健康保険は自分でわざわざ役所に足を運んで脱退手続きをしなければ処理が完了しません。

処理が完了しない限り、二重加入になっている状態が続きますので、協会けんぽ等の健康保険証が届いたらすぐに役所で手続きをするようにしましょう。過払い金が有る場合にはこちらも返金処理を受けられます。

必要書類は以下の2つです。

  • 自分が加入した健康保険組合等の保険証
  • 印鑑(還付金がある場合)

私のように、印鑑を忘れてしまった場合には、以下のような「国民健康保険料 過誤納還付金 口座振替依頼書」という書類を窓口で貰えるので、後日コレを書いて郵送すればOKです。(切手不要の返信用封筒も貰えるはずです。)

国民健康保険料 過誤納還付金 口座振替依頼書

なお、国民健康保険料の還付手続きは、市区町村によって異なる場合がありますので、お住いの地域の役所に確認するようにして下さい。